ブレイシャー氏の演奏を聴くのは、このアルバムで2枚目。 2021年4月発売、ということで、最新の新譜となります。
前作のデビューアルバム「Sam Braysher with Michael Kanan - Golden Earrings (2016 FSNT) 」は、ピアノとのデュオでしたが、今回は、ピアノレスでのトリオ編成。ドラムは、メルドーとの共演で有名な Jorge Rossy 氏。遊び心のあるようなドラミングも楽しいです。
素敵なのは、やはり彼の音色。くっきりした音色の低音から、温かみのある高音へ向かう時の、音色の変化が素敵ですね。ハッとさせられたのは、音を強調するように、グイッと吹く瞬間があることで、これは前作ではなかったかと思います。50年代のバップな香り漂うアルバムです。
発売に先立って、何曲かYoutube に映像がアップされてます。
CDジャケットには、レコーディングの写真もありますが、手前には・・・!
そう、なんとこのアルバム、Jorge Rossy氏がビブラフォンやマリンバで参加しています。これは面白いですね。
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1、For Regulars Only Dexter Gordon作曲で、これは僕LPで買ったんですよね。テナーとアルトは、音域が全然違うので、演奏するのは大変だと思うんですが、ソロも楽しめます。オープニングにふさわしい一曲。
2、Heart and Soul 最近のはやりで言えば、Kawaii 感じ!かわいいって便利な言葉で、色々と包括できますよね、キュートの範囲に収まらない形容。くつろいだ感じの曲調が良いです。
3、One Note Samba ラテン・リズムで、簡単な曲ではないんですが、かなり長尺のソロをサラリと吹いちゃうテクニック! 動画でみよう。
4、Some Other Spring ドラムの Jorge Rossy 氏がビブラフォンで参加。ビブラフォン好きなので、これは嬉しいですね。 彼は、実はもともとドラム専門ではなく、管楽器だって演奏をこなすのだとか?
5、Pintxos このアルバム唯一のオリジナル曲で、ベースの不思議なリズムに乗った、ハイテンポな曲。 デビューアルバムでのオリジナルも複雑なテーマを持った曲でしたが、これもなかなか。リズミカルで変化に富んだ演奏だと思います。
6、Little White Lies 何気ない佳曲ですが、割と単純なテーマでも、歌心ある感じで吹きます。晴れた日に窓を開けて聴きたいなぁ。
7、The Sweetest Sounds は、My Funny Valentine に通じるような、マイナー調のメロディ。作曲者が同じなんですね。日本人はこういうのが大好き。僕も好き。 前作ではタイトル曲の Golden Earrings がマイナー・メロディで際立っていましたが、今作のこれも、とても良いです。
8、Reflection 印象的な美しいメロディが気になって調べてみると、ディズニー音楽なんですね。こういう演奏を聴くと、アルトの音色って良いなぁ、と思うのです。
9、Shall We Dance 少し不思議なテーマの曲。タイトルの由来はここかな?少し早目なテンポですが、アドリブは絶好調で、ベースのトントントンというラインも心地よい。
10、This Nearly Was Mine ロッシ氏がマリンバで参加。ゆったりしたメロディラインに、マリンバとベースのアルコが重なります。不思議な雰囲気ですが、じんと沁みます。
11、Walking the Dog ロッシ氏をフィーチャーした曲でしょうか。ドラミングがとても印象的でした。音数は少ないけれど、印象に残るドラム、そんなところが面白いです。
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今回、ブレイシャー氏じきじきにCDまで送っていただき、ここに感想を書かさせていただいております。たいへんありがたく思うと共に、コロナ禍の中ですが、インターネットやメイルを通して人と交流できる楽しさに感謝します。また、同じく、海外在住経験がある友人のR.B.氏にも協力を得ております。この場をかりて、お礼を申し上げます。
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